新技術の着想の動機・背景     【 太陽熱利用給湯システムの高性能化と低コスト化 】
 

再生可能エネルギー利用技術の中で太陽熱給湯経済性において10年以内に回収できる見込みがあり、
普及が期待されたが、我国においては1983年ころをピークにその後減少傾向が続いている。
ヨーロッパや中国など諸外国は最近、非常に伸びて来ているにかかわらずである。

その原因は技術力のある電機メーカーが全社撤退し、技術開発が遅れたことにもよるが、
我国の最近のガス給湯器などはボタン操作一つで浴槽に自動お湯張りができるなど非常に便利で、
使い勝手の良いものになっているが、太陽熱給湯システムは却ってそのような便利な給湯システムとの接続が難しくなり、
逆に不便なものになっていることが最大の原因と考えられる。
現在の太陽熱温水システムは凍結防止のため、集熱システムに不凍液を用いて水に熱交換するものがほとんどで、
熱交換のため集熱性能が悪くなり、コストも高くなる。
第1次石油危機の直後に太陽熱利用の研究開発がなされた当初、凍結防止には集熱器から水を抜く方式の、
集熱効率の高い直接水集熱方式が各社で開発された。
しかし工事不良などに起因する凍結防止水抜き不完全による凍結事故が後を絶たなかったので、
不凍液方式が一般化した経緯がある。しかし、寒冷地の水道では凍結防止のため、
自動水抜き方式が不可欠であるので、古くから用いられており、
屋根の上の集熱器から確実に水を抜くのは工事指導を徹底させるのが難しいから
不凍液を利用するというのはあまりに安直な考え方に思え、確実な凍結防止自動水抜きシステムを開発し、
集熱効率の良い直接水集熱方式の開発に再チャレンジした。
もう一つ太陽熱利用率を高くするために有効な方式である集熱器への循環水量を少なくして
一度の集熱器通過で45℃以上に昇温させる集熱システムで、
集熱したお湯をタンク上部に層状に溜める急速加熱成層貯湯方式にすると
朝から太陽で沸かしたお湯を出湯でき太陽熱の利用率が高くなる。
またエコ給湯機のヒートポンプでお湯を作るシステムと同様の動作で太陽熱でお湯を沸かすので、
エコ給湯機との組み合わせ上の問題が全く生じない。